一人で運動をなさる際に役立つ方法をお教えしましょう。重要なことは個々人の状態に合わせて運動の強度や種類に違いがありますので、ここでご説明する運動を無条件にただ従えば良いというものではありません。個々人の状態に合う運動は、治療チームがお教えできます。
下肢延長術の後にはリハビリ運動が最も重要です。重要な二つの概念は、関節の運動範囲を維持(仙腸関節、膝関節、足首関節)させ、筋肉の力を維持(特に太ももの運動)することにあります。筋力を維持して関節が固まるのを防ぐためには、全ての運動を最低限一日に一回以上は運動をしなければなりません。頻繁に運動するほど良いです。関節運動をしないと、周辺筋肉が短くなった状態で固まってしまい関節の運動範囲を減少させて、結局はそれ以上に骨を伸ばすことができなくなる結果を招きます。骨を伸ばすためには、周囲の筋肉、神経、血管、皮膚なども同時に伸びていかなければならないため、ストレッチ運動が必要になります。
また、新しく生まれた骨の成長を促進させるには体重を踏み込むことが必須であります。(PRECICEの場合は例外です)創外固定器を装着したまま体重を踏み込むことを恐がらないでください。心配せずに体重を踏み込めるように手術できています。
ストレッチ運動をする際に正常な反応とはストレッチされる筋肉が引っ張られる感覚を感じます。もし過度に痛みがあったり、特にしびれたり、筋力が低下してしまったり、感覚が鈍くなったり、または足の方へ延び下がる電気が走るような痛みが生じたら、ストレッチ運動を中断して医療陣に伝えて下さい。また、お尻の関節、膝関節および足首関節の運動範囲を注意深く観察した後、万一に曲がって伸ばす角度が狭くなった場合には、すぐに医療チームに伝えなければなりません。
1.太もも前方
筋肉(大腿四頭筋)の強化
①大腿四頭筋、セッティング運動
肘を支えに横になり、足首を顔の方向に最大限に反らしながら、太ももの前方の筋肉に力を入れ、脚をぐっと伸ばして10~15秒ほど最大限に力を入れて維持します。足首を顔の方向に曲げて、膝は完全に伸ばした状態で運動することが重要です。この際にお尻の筋肉にも同じように力を入れると良いでしょう。
②膝を完全に伸ばす;サンドバック
膝の下に太い枕などを挟んで、太ももの前方の筋肉に力を入れ膝をしっかりと伸ばした状態で10~15秒ほど最大限に力を入れ維持します。足首を顔の方に曲げて、膝を完全に伸ばした状態で運動することが重要です。
③座って膝伸ばし;サンドバック、ゴムベンド
ベッドに腰掛けて太ももの前方の筋肉に力を入れ、膝をしっかりと伸ばした状態で10~15秒ほど最大限に力を入れ維持します。足首を顔の方に曲げて膝を完全に伸ばした状態で運動することが重要です。
2.太もも前方筋肉のストレッチ
④空飛ぶスーパーマン;ゴムベンド
伏せた状態で足首を手でつかみ引っ張ったりbandを利用して引っ張ります。太ももの前方の筋肉が引っ張られる感覚が感じられることでしょう。
⑤執事の姿勢
後方に伸ばした脚の太もも筋肉をストレッチすることが目的であり、この筋肉が引っ張られる感覚が感じられることが正しい姿勢です。
3.太ももの後方の筋肉(Hamstring)を強化およびストレッチ
⑥うつ伏せで脚を上げる;サンドバック
うつ伏せのままで脚全体をもち上げます。足首にサンドバックを乗せて行うとより効果的です。
⑦レッグカール;ゴムベンド
うつ伏せたままでベンドを足首にくくって抵抗感を感じながら、徐々に膝を曲げます。
⑧うつ伏せで考えごと
足首にサンドバックを下げて太ももの後ろ側の筋肉が伸ばされる感覚を受けながら、脚に完全に力を抜きます。この際に膝がベッドの外側に出ていなければなりません。
⑨ベンドで太ももの後ろの筋肉をストレッチする
仰向けに横になり脚の平にbandを当てて引っ張ります。この際に膝は完全に伸ばした状態で脚を引き上げて下さい。太ももの後ろ側の筋肉がストレッチされる感覚を感じて下さい。
4.膝を曲げて関節運動
⑩かかとを引っ張る;ゴムベンド
ベッドや壁に寄りかかって座ったり横になって、膝を曲げます。この際にbandを足首にかけて手で引っ張ると効果的に運動ができます。
⑪レスリングの姿勢
5.ふくらはぎの筋肉を強化
⑫足首を下に押す
ベンドで抵抗を与えながら足首を下方に押します。ふくらはぎの後方の筋肉を強化する方法です。
⑬足首を上に引っ張る
ベンドで抵抗を与えながら足首を顔の方に引っ張ります。ふくらはぎの前方の筋肉を強化する方法です。
⑭かかと上げ
立った姿勢で(もしくは若干背もたれした状態で)、足のかかとをもち上げてふくらはぎの後方の筋肉を強化させます。
⑮ゴムベンドで引っ張る
足の平にbandを回し掛けて両手で足首を上に引っ張ります。
⑯押す-1
板や厚い本などを踏み上がって、足のかかとは下に向って押します。
⑰押す-2
絵のような姿勢で前方に身体を傾けながら、立てた脚の側のアキレス腱をストレッチします。
6.ふくらはぎのストレッチ(つま先立ちの予防運動)
⑱押す-3
壁に手を付けて片側の脚を後ろ側に伸ばします。膝は完全に伸びるようにして、お尻が後ろに抜けないように腰をしっかりと伸ばすことが重要です。この状態で足のかかとは床に向けて押し付けます。
7.股関節の外転筋を強化およびストレッチ
⑲横に横たわり脚を持ち上げる
身体が地面から完全に90度になるように横に横たわり、次に脚を横に持ち上げます。
⑳脚を広げる
家族や理学療法士の助けを借りて、脚を広げ内転筋をストレッチします。