下肢延長(身長手術、身長を伸ばす手術、四肢延長術、脚長差など含む)における合併症の深層分析の五つ目の主題「不整癒合」②です。
2.複合変形
身長手術の後に最もよく生じる変形はX脚ですが、それ以外にも多くの不整癒合がありえます。
下記の方はやはり延長の途中でX脚が発生してしまいましたが、この医師がX脚を適切に矯正することができなかったためにむしろ三次元的な複合変形が生じてしまいました。
エックス線検査をみると、三次元的な変形が判ります。
このような三次元的な矯正は、私が使用する Hexapod system を利用して一度に矯正することができます。
3.回転変形
またもう一つ非常に注意しなければならないことは回転変形です。
ふくらはぎの手術の際に、万が一に間違えると脚が回る回転変形になることがあります。
下記の方は太ももの手術の後に生じた回転変形です。
回転変形が生じると、歩く際に八の字歩きや内股歩きになることになります。もちろん脚が曲がっても見えます。回転変形はまたやはり私が非常に関心をもっている変形の一つですが、、ご説明しようとすると長文になってしまうので、ここではこれくらいにしましょう。
4.足首の外反変形
これも非常に重要です。原因は延長の際に小さい骨(腓骨)が足首にそって上がっていき生じる現象です。このような現象を防止するためには「足首のネジ」を挿入することです。
ある方は足首のネジをなぜ入れるのかと聞くこともありますが、これは選択の問題ではありません。非常に重要なことであり、どういう方式で挿入するのかもまた重要な手術のノウハウになります。
ここの部分もやはりここでご説明するには余りにも専門的になってしまう関係で、、これくらいで終わりにします。
骨延長術において発生する変形は大きく分けて、
1.手術の途中で生じるもの―これは手術過程の問題によって生じるものです。
2.延長をしながら生じるもの―これは筋肉の力によって二次的に発生するものです。
骨延長術においては、普通は骨だけを考える方もいますが、実際には周辺の筋肉も非常に重要になります。
骨を扱うことは骨延長の基本です。これをできないのならば大きな問題が起こり得ます。しかしながら、筋肉をしっかりと扱えれば完璧な結果を得ることができるのです。