内固定(PRECICE, ISKD, Fitbone, Albizzia)を利用した骨延長[身長手術、脚長差、身長を伸ばす手術、四肢延長術]の合併症についてお話しをしましょう。

内固定を利用した骨延長もまたやはり「骨延長術」でありますから、基本的には骨延長による全ての合併症(関節拘縮、不癒合、不整癒合、運動能力減少など)が発生することがあります。

外固定なしに手術をするために、医師たちがややもすると簡単だと考えて手術に飛びつき患者さんたちに大きな被害を与えることにもなり得ますから、この手術を専攻する世界的な学者たちはとても心配しています。

内固定(lengthening nail)を利用する骨延長と外固定(イリザロフ)を利用する方法の最も大きな違いは「機械」が異なるということからきています。

1.機械ごとに原理が異なりますし、設計が異なるために機械がもっている固有の機械的な問題が異なる。

2.内固定は身体の中で機械的な問題が生じた場合に再手術をして解決しなければならない場合が多い。

この二つのことが内固定を利用した骨延長における核心になります。

 

考えてみると、外固定(イリザロフ)を利用した骨延長手術においても機械的な問題は発生しますよね。けれども外固定の機械的な問題は―機械が身体の外部にあるので―手術をせずに外来(outpatient clinic)において解決する場合が多いです。再手術を通して解決しなければならない程の場合とは、ピンが折れた場合くらいでよくあることではありません。

けれども内固定の場合には機械が身体の中にあるために機械的な問題が生じた場合に外からどうにかする方法がありません。そのため内固定延長の場合には機械自体が非常に重要になります。内固定の機械が安定的であればある程機械的な問題によって再手術することは少なくなるからです。

 

つまり内固定機械を利用した骨延長術の合併症をご説明するためには、それぞれの機械に関する説明をしなければなりません。

 

内固定を利用した骨延長を開発した歴史は長い間ありました。動物実験の段階において終わってしまった機械は特段にご説明申し上げませんが、初めて人に対して適用されたのはBlisknuv nailというものです。骨盤に機械を連結させて股関節を回転させながら延長する方式でありました。開発者によって少しの間だけ使用された後に、使わなくなった製品です。

初め多く使用された製品は、「rachet mechanism」を利用したnailです。主にヨーロッパの一部の医師が使用している製品ですが、延長の途中で体重を比較的に多く負荷できるという長所がある反面、このような種類の機械における最も大きな問題点とは延長のために脚を回さないとなりません(回転)が、この際に痛みがきついということです。

他の原理を利用した機械としてモーターを利用したFitbone nailがあります。ドイツにて開発され主にヨーロッパにて使用されてきました。この機械を多く使用してみた医師たちによれば、いくつかの問題点がありますが製造社が現在は過去の短所を補完して問題はないとおっしゃいます。しかし、結果はもう少し見守る必要があるように思えます。

Fitboneの写真

Fitbone,李東訓教授,骨延長,身長を伸ばす手術‐4Fitbone,李東訓教授,骨延長,身長を伸ばす手術-5

以後、ISKDというものが開発されましたが、rachet nailの短所を補完して痛みなく延長できるように開発されました。しかしながら、実際に医師たちが使用してみると、開発の意図とは異なり痛みもひどくそれ以外にもさまざまな深刻な問題が発生しました。ISKDの最も大きな問題は延長の速度の調整がしっかりとできないことです。速度調整だけしっかりとできるならば余程良い製品なのですが、速度調節が骨延長術において非常に重要な部分であり、結局は米国市場から撤退することになりました。速度調節がうまくできないことにより派生するさまざまな合併症(深刻な痛み、不癒合など)も二次的に発生することがあります。

この論文はISKDの問題点に関して私がClinical Orthopedics and Related Researchという世界的な学術誌にて記載した論文です。もちろん私にISKDの手術を受けられた患者さんたちは大きな合併症もなく皆さんちゃんと治療を受けられました。当時、韓国において私が ISKDに対する問題点を把握して先導的に最も最初に手術を中断しました。患者さんの安全が最優先であります。

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最後に、プリサイス(PRECICE)です。

下記の写真は、プリサイスの構造を見ることができるエックス線写真です。

磁石(MAGNET)を外から回すと下にあるギアバックス(Gear Box)が回りながら伸びていく原理です。

PRECICE,プリサイス,李東訓教授,骨延長,身長を伸ばす手術-9

プリサイスの長所のうちの一つは、延長のために脚を回す動作なしに下記のようにただ機械を当てているだけで延長がされるために、痛みが少ないということです。それ以外にプリサイスは必要な際には長さを短くすることもできるし、延長速度が正確であるという長所があります。

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もちろん、プリサイスもさまざまな問題が発生することがあります。

.機械の骨折:つまり、機械が折れてしまうことです。全世界的にPRECICE 1において発生しました(私の場合も1例)が、PRECICE 2(P2)においては機械的な強度が強くなってこのような現象はなくなりました。

2.機械の故障:延長ができない現象、つまりは延長のメカニズムが故障になることです。延長の最初の段階または延長の途中でどの瞬間にも起きることがあります。発生時には再手術を通して新しい機械に交替するしかありません。

3.機械的な不安定性:running backが非常に稀ですが発生することがあります。

4.それ以外にも些細な機械的な問題が起こることがありますが、大部分は再手術が必要ではない程度です。

 

即ち、プリサイスの手術を受けた場合に機械的な故障によって再手術を受けることになることがあるというのは事実です。幸いにもPRECICE2の以後にも引き続きアップグレードされてますから、前に説明した問題は大部分は解決されたと言います。もちろん実際の結果は、もう少し見守る必要はあります。

現在までも解決できていないプリサイスの最も大きな短所というのは、延長の途中で完全に体重を負荷することができないということです。

内固定を利用した骨延長[身長手術、身長を伸ばす手術、脚長差]は、「ちゃんと治療した場合」には、これまでの法則を変えてしまうかも知れません。けれどもこれはやはり「骨延長術」であるために骨延長術に関連した全ての合併症が発生することがあり、これを予防するために、もしくはどんな問題が発生したとしても後遺症が残らないようにしっかりと対処する能力が最も重要です。