延長の過程を安全に終えたとしても、医師として心に残る部分があります。

それはまさに運動能力(スポーツ能力)の回復です。

 

結論からお話しをすると、身長手術の後にはスポーツ能力が100%に回復できないこともあります。そのためにプロの運動選手や運動によって生計を維持しなければならない方は、基本的にこの手術をなさってはいけません。

 

私はこの手術を希望する方たちにこの点に対して明確に説明します。にも関わらず手術を決める理由とは、運動能力を失うことに比べて精神的に得られるものがより大きいと考えるからです。実際に身長手術の後に精神的に肯定的な変化が多く見られます。

 

身長手術とは様々な合併症が起こり得ることは事実であり、これを予防し管理することが最も重要です。医師としてこの部分に対する自信を持つようになると、次に考えたいことが運動能力の回復に関する部分です。そのため私は身長手術の後のスポーツ能力の回復に関する前向き研究(prospective study)を進めていて、この論文は2015年の国際骨延長学会(International Limb Lengthening Reconstruction Congress)において最優秀賞を受賞しました。本当に多くの手術患者を対象に行ったこの研究において結論としては、日常生活や軽いスポーツ活動の能力は90%以上回復しますが、過激な運動は手術前の平均70%程度に回復するということでした。これは手術後、平均2年目のデータです。時間がもっと経過するとこれよりもさらに回復するだとうと予想はしますが、長期間の追行観察は容易ではありません。

 

もちろん手術後に走ったりサッカーをするなどの運動能力が100%に回復する場合も多くあります。けれどもこのような場合をまるで全体のように患者さんに対して説明してはならないのです。一部の医師たちが手術の以後に全てが100%回復するから心配するなと、患者さんたちに説明しているのを時々に見かけます。これは患者さんたちに間違えた情報を伝えて手術をさせようとする行為です。けれでも本来は、誰しもが手術の前に医師から正確な情報を提供されて、手術をするかどうか決める権利があるはずです。